【子持ち様問題のリアル】 組織は、子どもの有無による分断をどうすればなくせるのかーアンケート結果報告<後編>

メディアやSNSで話題となっている職場の「子持ち様問題」。500人以上の方からアンケートを取った結果、7割の回答者から「子の有無をめぐる分断・モヤモヤ」を感じているとの答えを得ました。

<前編>では、その軋轢の原因、背景は当人同士だけの問題というより、所属する組織の制度・風土等の環境や、周囲の対応にも起因していることを明らかにしました。その調査結果を踏まえ、どうすれば子どものいる人もいない人も働きやすくなるのか、解決に向けたヒントをUMU編集部が独自に5点にまとめました。

また、12月6日にオンラインで開催したアンケート結果報告会では調査結果とヒントを発表し、参加者のみなさんとさらに議論を深めました。その場で生まれたアイデアや生の声もお伝えします。


【アンケートから見えてきた「子持ち様問題」を解決につなげる5つのヒント】

アンケートでは回答者全員に、「子どもの有無による分断を生まないようにする上で、働く場において効果的だと感じていること、または、あったらいいなと思うこと」について聞きました。

その結果、「1. 人員の確保と業務の標準化」「2. 対象者を限定せず、誰もが働きやすく、休みやすい環境をつくるための制度」「3. その制度をためらわずに活用できる工夫・雰囲気づくり」の3つのトピックに関する意見やアイデアが多く寄せられました。

この3つのトピックの必要性はよく言われることで、その重要性はすでに広く認識されています。それでも、今回改めてみなさんから声が寄せられたことで、いまだ十分に実現できていない企業や、課題を感じている人の多さが浮き彫りになりました。

そして、さらにこの3つのトピックも参考に、アンケートの回答をUMU独自の知見と経験に基づいて読み込み、本テーマの有効な解決策の案として今後検証したい、より踏み込んだ5つのヒント集にまとめました。

5つのヒント💡

①メンバー同士がお互いに今の状況を受け止め合える環境である

② ライフステージやそれぞれの事情に合わせた働き方を選択できる仕組みがある

③ 同僚の仕事をフォローした場合の適切な評価・十分な手当がある

④ 子どもがいること/いないことを理由に、チャレンジの機会を奪わない・不当な待遇をしないこと

⑤管理職の人材バリエーション、自身の経験有無にたよらない想像力・対応力の醸成

 

  1.メンバー同士がお互いに今の状況を受け止め合える環境である

前編でもお伝えしたとおり、今、多くの組織で「働きやすい環境づくり」の明確な対象になっているのは「子どもがいる人(育児と仕事の両立課題を抱える人)」のようです。この点は前提として重要です。

一方、配慮されるべき従業員は、「特別な事情」や「明確な制約」を抱えた人だけではありません。子どもの有無にかかわらず、働く人にはそれぞれ生活があり、大小異なる悩みやハンディを抱えていることが多いです。他者からは見えにくい事情も、「自分の事情や状況はわざわざ言うほどのことではない」と、周囲には明かさない人もいるでしょう。

だからこそ、制約のない人も含め、日常的にコミュニケーションの場を積極的に持ち、プライベートなことも含めてお互いの状況を理解しておくのが大事だという声がありました。何か問題が起こる前から、それぞれが困ったと感じていることを相談し、解決に繋げられる仕組みや風土を作れるのが理想的といえそうです。そうすれば安心感をもって働くことができ、より本来の力を発揮しやすくなると考えます 。

なお、そのように心理的安全性(普段から他者の反応を過度に懸念することなく、率直に意見表明できる業務環境・状態)が高いチームは、業務パフォーマンスが高いとの調査結果も示されています。
(参考:経済産業省「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」)

寄せられた声や「あったらいいな」💭

子持ちの人と働くうえで出てくる悩みをオープンにできる風土があると良い。妊娠や出産はおめでたいことだけに、子持ちでない側の悩みを表に出しにくく、愚痴っぽくなってしまいそうで、そもそもオープンにできなかったのが辛かった(45-49歳・女性・モヤモヤある・子はいない)

 

産休・育休介護等、プライベートがある程度どういう状況なのかがお互いなんとなく認識があること。(中略)特に家族の形はそれぞれで、夫がホワイトな会社に勤めていることもあれば、ベンチャー勤務などで非常に忙しいこともある(もふ・40-44歳・女性・モヤモヤない・子ども1人)

 

 

  2.ライフステージやそれぞれの事情に合わせた働き方を選択できる仕組みがある

常に仕事に全力投球しなくてはいけない環境だと、仕事に時間的制約がかかる子育て期には思うように仕事ができず、子育てがマイナスと捉えられかねません。しかし、キャリアは何十年も続くものであり、その期間中ずっと誰もが仕事に全力投球できるわけではありません。ライフステージに合わせて仕事に力を入れる時期と、ゆるやかにする時期の調整など、柔軟な働き方ができると望ましいという声がありました。

また、子育て中の人が柔軟に働けるような制度が整えられていても、介護や学び直しなど、他の理由で仕事を一時的に抑えたい人を支援する仕組みが企業内にないことに疑問を感じる声もありました。

常に上を目指すというキャリアだけが正しいわけではないことを考えれば、子育て中の当事者に限らず、それぞれの人が個人の事情に合わせて働き方を選択できることが望ましいでしょう。一時的に仕事をセーブしたり、最前線の仕事から外れる選択をした人が、その後、再び頑張りたいタイミングで仕事に戻れるようにすること。さらにその人の背中を適切に押し、必要以上のハンディを負わせない仕組み・風土作りが重要になりそうです。

寄せられた声や「あったらいいな」💭

キャリアを常に一本線で成長するものと捉えると子育て時期にブレーキがかかるためモヤモヤするが、ブレーキ期アクセル期と長いキャリアでアップダウンを作ることが自然になれば良い(35-39歳・男性・モヤモヤある・子ども3人)

 

会社側の支援制度が、子育てや介護など家族を支えるなどの事由が中心となっているため、子どもがいる/いない、子育ての主である/ない(介護もしかり)で線がひかれがちだが、もっと柔軟にそれぞれがライフステージに応じて働きたい形を選択し、その選択を会社側が支援できるようにしていけばいいのではないか(40-44歳・女性・モヤモヤある・子ども2人)

 

すでに、ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができるような制度を導入している企業もあります。

京王電鉄(株)

「ポストチェンジ制度」
京王電鉄は2024年、育児・介護・不妊治療中の「管理職」が、最大3年間にわたって職位を変更できる「ポストチェンジ制度」を新たに導入。部長・課長クラスが課長補佐級もしくは一般職に一時的に降格し、期間終了後には原則として移行前の職位に復帰するという制度。

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(株)NSグループ

「給与×休日×労働時間を組み合わせた、30のパターンを自由に選べる働き方」
「カラオケパセラ」などのブランドを展開するNSグループは、従業員が年2回、「年間公休数×(1日あたりの労働時間+固定残業時間)」の組み合わせを希望に応じて選択できる制度を導入。副業や趣味など、本職以外のことも奨励する同社では、各人が個別の事情に合わせ、その都度働きたい時間を選択できるようになっている。NSグループの制度は全従業員が利用でき、期間に定めもなく、望ましい形を柔軟に自ら選べるようになっている。

 

  3.同僚の仕事をフォローした場合の適切な評価・十分な手当がある

子育て中の人が時短勤務や急な休みなどで、働ける時間が減った場合、その分の仕事を同僚がフォローしたり、代わりに担当することが多いということはアンケートの回答から見えてきました。

しかし、その分の評価や報酬が上がるわけでもなく、フォローを引き受けた人の負担が増えるだけでは、不公平感が生まれてしまうのも無理はありません。また、そのことを子どものいる人が心苦しく感じている実態も、アンケートから明らかになりました。子育て中の人ができない仕事を他の人が代わりに担当しなくてはいけない場合、その人に対する評価や報酬を明確に上げるべきだという声も多くありました。

今回のアンケートでは、子どものいる人の側からもこの点について言及が多くありました。フォローしてくれる同僚への評価がきちんとなされることによって、自身ももっとお願いしやすくなる、という声があったことは特筆すべきだと考えます。

寄せられた声や「あったらいいな」💭

代理対応等、他者に対して融通を効かせた実績を確認し、評価する(お互い様などで片付けず、手伝うことで得られてるものを明確にする(ブリ・40-44歳・男性・モヤモヤない・子はいない)

 

子どもがいる人は周りに気を遣わず働けて、その分業務負担を負っている人がきちんと評価される平等な職場を望みます(45-49歳・女性・モヤモヤある・子はいない)

 

フォローをする同僚に対して手当を出すという例もすでに出てきています。

三井住友海上火災保険(株)

「育休職場応援手当(祝い金)」
育児休業を取得した従業員の同僚全員に、最大10万円の一時金を支給する仕組み。育休を取る人が複数いれば、手当もその都度支給する。

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厚生労働省

「業務フォロー手当て」の対象を拡大へ
厚労省では、両立支援等助成金に「育休中等業務代替支援コース」を新設し、2025年度から中小企業で育児休業や育児短時間勤務を取得・利用する従業員の業務代替をできる体制作りを支援。育児休業中の同僚をフォローした従業員の支援、あるいは新規雇用に対してその分の助成金を支払う。


さらに、フォローされる対象は、本来「小さな子を育てている最中の人」だけではありません。長時間労働が難しいのは、介護や不妊治療、自分自身の健康状態などの理由を抱えた人も同じです。さらに言えば、個人のプライベートの都合で長時間勤務を避けたい人もいるでしょう。

子持ちに限らず、体調不良の人や介護や大学に通うなどして不在になる人の補填をした人に、評価、処遇、ポイントなど目に見えるもので返す会社制度があるといい(45-49歳・女性・モヤモヤある・子ども1人)

 

規定された時間働くことが難しい人のフォローを周囲が行う場合、フォローをする人たちに、それに見合った処遇を与え、公正にフォローし合う仕組みをつくることがより求められていきそうです。

  4.子どもがいること/いないことを理由に、チャレンジの機会を奪わない・不当な待遇をしないこと

子どもがいる人へ良かれと思って過度な配慮、あるいは、逆に子どもがいないからという理由での業務の押し付けなど、「子どもの有無」を理由にした一方的な指示やコミュニケーションが存在していることも、アンケート結果からわかってきました。それは、どちらもアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・決めつけ)が働いている可能性があります。

子どもがいる人には時間の制約があると一律的に決めつけ、仕事の機会を与えなければ、その人はモヤモヤを抱えてしまいます。逆に子どもがいない人には制約がないだろうと考え、負担の多い仕事を任せても、実は他の制約を抱えているということもあります。本人の意に反した押しつけをしていないか、注意が必要です。

業務調整をする管理職などは、当人が仕事に対してどんな希望を持っているかを確認し、それに応じた働き方ができるようにすることが大事ではないでしょうか。働ける時間が限られていても、納期に余裕を持たせるなど、調整することで対応できるという当事者の意見もありました。

この点に関しては、管理職や制度をつくるような立場でない人も、相手に対する決めつけをもとに行動したり発言したりしていないか、日々省みれるかもしれません。

寄せられた声や「あったらいいな」💭

自分は子どもがいるいないにかかわらず、前と同様に働きたいと思ったときに、10歳ほど年齢が上の女性(先輩)が、上司に「〇〇さんはお子さんがいるので、配慮してください」と進言したときに、「そんな余計なことをなぜ。。」と不満に思った(50歳以上・女性・モヤモヤある・子ども1人)

 

子どもを対象とした事業の担当から外される。「子どもの人数が多い人が偉い(経験豊富で物事をよく知っている)」というような空気がある(45-49歳・女性・モヤモヤある・子はいない)

 

マネージャーが業務をアサインする際に、子の有無を勝手に配慮しないようにすることが、不公平の是正の鍵になると個人的には思っている。もちろん、子の状況によって断るということもあってよいが、まずは出来るかをフラットに聞くべき。そもそも子どもがいなくても、断る必要があるシチュエーションもあり得るので、同様のコミュニケーションを子がいないメンバーにもすべき(ひょん・30-34歳・女性・モヤモヤある・子はいない)

 

そもそも多様な人が働きやすい環境をつくるために、子どもの有無にかかわらず「残業なし」を当たり前にし、業務を効率化して、時間内に出した成果を評価ベースにする必要があるという声もありました。それには働く時間の長さではなく、成果・納品物をベースにした評価に切り替えるべきだという意見も見られました。

 

  5.管理職の人材バリエーション、自身の経験有無にたよらない想像力・対応力の醸成

上司・管理職が、今の子育て世代の望む働き方を理解できないために、子どもを持つ人を過剰に特別扱いしたり、配慮が不足するという声がありました。一方、子育て中の人の視点を組織に取り込むため、子どものいる人が積極的に管理職になることを奨励する組織もあるようです。

女性の労働参加を促すだけではなく、管理職等、意思決定に関わる職位に女性を増やすことが生産性の引き上げにつながる可能性が高いことを示した調査結果もあります(首相官邸 令和4年 第3回「女性と経済」に関する勉強会資料)。性別に偏りがないように積極的に管理職に登用することで、パフォーマンスの向上にもつながる一方、より多様な人が働きやすい職場になることが考えられます。

また実際に、男性側の働き方も変化している点も忘れてはいけません。今、男性も育休を取ることが社会に奨励され、育児をするようになっています。そのため、かつてのように「時間を気にせずバリバリと働くことができる男性」だけが管理職になるという状況が続けば、現場で働く人と意思決定をする層との乖離がより拡大してしまいます。

同時に、管理職を含め、自分に経験がないことでも相手の状況について理解し、その上で働き方や業務の調整など、必要な場面で適切な対応をすることが求められているのではないでしょうか。子育て経験のある女性上司から、子育てと仕事の両立が困難だった時代に頑張っていた過去の自分と同様に仕事をこなすよう求められて困っている、という声もありました。

世代や時代が変われば、自身が当事者として未経験の問題に付き当たることは至極当然です。経験者でないからこそ真摯に、部下の事情や状況に寄り添えるスキルやマインドセットこそ、今管理職が磨くべき力の一つと言えそうです。

寄せられた声や「あったらいいな」💭

子育て世代社員の上司にあたる人が、全く子育てに関与してこなかった男性か、独身女性、子育てを手伝ってもらえた(実母や義母など)女性、またはすべてをこなしてきたスーパー女性のいずれかということが多く、今の子育て世代の実情をわかっていない気がしています(50歳以上・女性・モヤモヤない・子ども2人)

 

管理職になったときに「あなたのような、子育てをしながら働いた人が管理職に少ないから、どうしたらよいか分からず困っている。だから、今は職場に迷惑をかけてくれて良いから、その視点を持って管理職側になって欲しい」と言われて納得した(もふ・40-44歳・女性・モヤモヤない・子ども1人)

 

 

【アンケート結果報告会 参加者からの感想・意見】

<報告会概要>
日          時:2024年12月6日(金)20:30~22:00
開 催 方 法:オンライン
プログラム:
【1部】編集部からのアンケート結果報告/【2部】参加者同士の座談会(アンケート結果の感想、自身が直面しているモヤモヤ、問題解決のためのアイデアなどを共有)

2024年12月6日には、本アンケートの結果報告会をオンラインで開催しました。2部制で、第1部はまず編集部からの結果報告を行い、休憩を挟んで希望者のみなさんのみで第2部として調査結果に対する感想や、どうすれば子どもの有無による分断を無くせるのかを考えました。

オンラインでの報告会に参加してくれた方と、UMU編集部メンバーの集合写真。


▼参加者からの調査に対する感想

「子持ち様」という言葉が出てきたときにショックを受けた。調査報告を聞いて、子育てをしている当事者である自分自身がこの言葉に傷ついていたことに改めて気づいた。今回の調査が焦点を当てたのが、この問題が当事者間の対立ではないということに感謝している。(女性)

組織の問題だという点に完全に共感。子どもの有無にかかわらず、働きづらさを感じている人たちがいることを忘れてはいけないと感じた。(女性)

「子持ち様論争」を目にするたびに心を痛めてきたが、今回調査結果を見て、課題の多さを感じた。問題は、当事者間のことというより、社会や環境から生まれていくことが多そうだと強く感じた。(女性)

長時間労働や、時間に制約のある人の仕事を他の誰かがフォローしなければいけないなどという前提を無意識に持っていたことに気付かされるアンケートだった。(女性)

子育て支援関連の仕事をしており、調査結果は興味深かった。同僚のほとんどには子どもがおり、調査に出てきたような分断は普段感じない。ただし、自分に子どもがまだいないときには、周囲が子どものいる人ばかりで、モヤモヤを感じていたことがあった。それは無意識に「子どもがいる人の方が偉い」と感じていたからかもしれない。(女性)

 

▼分断をなくすためにすべきこと

現場でのフォローに任せきりにしない、マネジメントの役割

現在、米系の会社に所属し、DE&I委員会のようなものに参加している。そこでモヤモヤの生まれない職場の成功例と、そういう風土が生まれる背景についても聞くことがある。それを考えると、アンケートに出てきたような「誰かが休むと、その分の仕事を別の誰かがフォローをしなければいけない」という構造自体が危ないと感じた。誰かが休んだ時に必要なのはフォローではなく、マネジメントの判断だ。管理職が、プロジェクトの範囲を見直したり、プランを立て直したりなど、業務を調整することが重要である。そうして誰かが現場でフォローしなくてはいけないということ自体をなくしていかなくてはいけない。(女性)

みんなが休みやすくする組織・体制作りを

海外在住者だが、ヨーロッパでは休むことが権利になっているので、みんな当然休む。時短勤務の人はそれに合う量の仕事しか渡されず、フォローも発生しない。休む人がいたら、休暇中の業務に関する連絡先として上司を指定しても、その人の分の仕事が止まることが多そうだ。社会がそれを受け止められるような余裕もある。だから、そもそも同僚がフォローするというのは少ないだろう。(女性)

みんなが休まないから、子育てで休む人ばかりが目立ってしまうのだと思う。もっと気軽に休めるようにすべきだと思う。スケジュールを、みんながもっと長く休む前提で立てるべき(女性)

全員が自分の状況をオープンにし、困ったことを相談できる組織・体制作りを

誰もが自分の状況を開示し、相談できるようになる必要がある。さらに、どれだけ制度があっても、それが使えないと変わらないと感じている。(女性)

子どもの有無によって扱いを変えるのは、いけないことだという意識を

仕事の評価に子持ちであるかないかが影響するというのは差別に当たる。そういうのはダメなことだと訴えていく必要性があると思う。それを常態化させてはいけない。(女性)

一定数の女性を経営層に入れるクオーター制のような仕組み

地方在住だが、男性の経営者仲間が「総務の女性がみんな結婚してやめてしまったので、もう女性は入れたくない」と言っていたのを聞いて、納得がいかなかった。おそらく女性が働きにくい環境だったからこそ辞めてしまったのだろうが、昔ながらの感覚を持った男性経営者は、女性の働き方を理解できていない。めんどくさいから全部男がいいという認識では何も変わらない。現状を変えるには、一定数以上女性を入れてその声が反映されるようにならなければいけないと思う。だからこそ、一定数の女性を入れることを定めるクオーター制は有意義だと感じている。(男性)

中小企業の経営者が人事のあり方について学ぶ研修

大企業では育児で働ける時間が限られる人がいても、人のやりくりができる。一方、地方の中堅企業では、一時的に働ける時間が減る人がでた場合、それにどう対応すればいいのかという発想がない。特にワンマン社長などで深刻だ。人事はどうあるべきなのか、経営者が視野を広げ、ノウハウを吸収できる機会があるといい。(男性)

子育ては社会でするものという発想の転換

子育てが大変すぎて、理想とのギャップに絶望していた頃、「社会の子どもとして、子育てをみんなでサポートする体制が整わないと産む人がいなくなるから、そんなに申し訳ないと言わなくていい」という言葉をかけられ、それを支えに乗り切れた。「発想の転換」が必要だと思う。(女性)

 

今回の記事が、このテーマに直面している方々にとって気づきや考えを深め、なにか行動のきっかけとなることを願っています。


▶︎▶︎調査結果の詳細は、以下から閲覧できます。

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アンケート取材および編集・文 / 駒林歩美、UMU編集部