「不妊治療」をはじめる前に、知っておきたいこと。「不妊」の定義、原因、治療方法、治療の一般的な流れについて。

「不妊治療」と聞いて、みなさんはどんな印象や気持ちを抱きますか?
「なかなか子どもを授からない…」と思っている方の中にも、もしかしたら、病院に行くのが怖い、治療って何をするのかよく分からないなど、不妊治療について積極的に考えられない方もいらっしゃるかもしれません。
不安や心配を軽減する方法は、まずは「正しく知る」こと。改めて、不妊とはなにか、そして不妊の原因、治療の流れを見ていきます。


*この記事では、編集部が選んだ「不妊・産む・産まない」にまつわる国内外のニュースやリサーチを、コラム形式でお届けします。


  「不妊」って、どんな状態のことを言うの?

不妊の定義は一般的に、「結婚した夫婦が子供を欲しいと思い、避妊を行わず一般的な夫婦生活を行っているにもかかわらず、1年以上子供を授かる事ができない状態」のことをいいます。(※2015年8月29日に日本産科婦人科学会は、期間を2年から1年に短縮しました)

そう、1年です。意外と短いと思いませんか?

あなたがいつ子どもを欲しいと考えているかにもよりますが、もし上記の定義に当てはまるようであれば、一度病院で検査することを検討しても良いかもしれません。

 

  不妊の原因には、どんなものがあるの?

妊娠は女性の体で起こるものなので、子どもができない原因は女性にあると思われがちですが、実はそうとは限りません。

不妊の原因は、(1)女性に原因がある場合、(2)男性に原因がある場合、双方に原因がある場合、また、検査では原因を特定できない「原因不明不妊」があります。(1)女性に原因がある割合と、(2)男性に原因がある割合は、ほぼ半々といわれています。<参考※1>

(1)女性の不妊原因

排卵障害/卵管の閉塞、狭窄、癒着/子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮の先天奇形/子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常/抗精子抗体などがあります。

(2)男性の不妊原因

性機能障害、精子の数や運動率が悪くなっている場合などがあります。また、女性に比べると緩やかと言われますが、加齢による影響もあります。

原因をしっかり特定し、その後の治療や対策につなげるためにも、不妊治療の検査は夫婦揃って受けることが望ましいとされています。

 

  不妊治療の一般的な流れは?

不妊治療は、どのようにすすんでいくのでしょうか。

まずは検査(超音波検査、血液検査、精液検査など)を行い、不妊原因を調べます。その結果や年齢次第で治療のステップは変わってきますが、一般的には下記の順にすすんでいきます。<参考※2>

 

<保険適用>

① タイミング法

排卵日を診断して性交のタイミングを合わせる治療です。

おりものの状態や卵胞の大きさ、血中値などから排卵日を把握し、その日に夫婦生活を営むことで自然妊娠を目指す方法です。

排卵がない場合や、排卵の状態がよくない場合には、卵胞の発育と排卵をうながすよう、排卵誘発剤を併用する方法もあります。

 

<保険適用外>

② 人工授精(AIH) 1万5千円程度/回

採取した精液から運動している成熟精子だけを洗浄・回収して、妊娠しやすい期間に細いチューブで子宮内にこれを注入して妊娠を試みる方法です。

過去のデータから、AIHを6回行っても妊娠に至らない場合は、AIHでの妊娠可能性が低いとされ、体外受精(顕微授精含む)を勧められることが多いです。

③ 体外受精(IVF)20〜50万円/回

採卵手術により排卵前に体内から取り出した卵子と精子の受精を体外で行う治療です。受精後、受精した卵を子宮に戻します。

④ 顕微授精(ICSI)40〜60万円/回

体外受精の一種で、細いガラス針の先端に1個の精子を入れて卵子に顕微鏡で確認しながら直接注入する方法です。受精後、受精した卵を子宮に戻します。

※治療にかかる金額は、治療を受ける地域や病院、個人の体質や年齢などによってばらつきがあります。

 

*不妊治療の流れ(日本生殖医学会HPより抜粋)

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<参考>

※1
一般社団法人 日本生殖医学会「不妊症Q&A

公益社団法人 日本産科婦人科学会「病気を知ろう:不妊関連」

※2 
一般社団法人日本生殖医学会「不妊症Q&A

 

(文・UMU編集部)