【ミレニアル世代コラム】31歳、結婚1年目。現在子どもはいないけれど、私の「流産」経験について書いてみようと思う。

人材業界で働く筆者・高寺には現在、まだ子どもがいません。が、半年ちょっと前に一度、「妊娠→流産」を経験しました。
今回は、そのことを書いてみようと思っています。最近「不妊」についてはよく耳にするようになりましたが、当の私は、妊娠はするけれど流産が続いて産めない方や、不育症の方がいるということも知らず、当たり前だけれど「妊娠できる」と「出産できる」は別であることをちゃんと理解できていなかったな、と感じました。
現在31歳の私の周りには、いつ子どもを持ちたいかも含めて、ライフプランを考える同年代の女性がたくさんいるので、少しでも参考になればと思っています。


*【ミレ二アル世代コラム】と題して、等身大の30代が「産む・産まない」について思うこととモヤモヤ、意見、願いなどをコラム形式でお届けするシリーズです。


  「流産の確率は決して低くない」ことも、知らなかった

今から約半年前。流産した直後に、身近な人に流産をした話をすると、「私も実は流産経験が…」と話してくれる人が多くて。みんな言わないけど、実は周りにも経験者は多いんだな、と分かりました。

そのときに思ったのは、
「あ、赤ちゃんが生まれたときは話題になるけれど、それより前に何が起こってるかって、身近なところから情報は来ないんだ」
「よくあることなのに、知らなかったのか」
「周りにそういう人がいても、気づけてないんだな」
「『実は私も…』と言ってくれる人がいるだけでも(状況をわかってくれる人がいて)心強いし、少し心が落ち着く」
ということでした。

妊娠初期の流産率は、10〜15%もあるそうです。しかも、そのほとんどは染色体異常であり、気をつけていても起こる。
けれど私は、自分が妊娠を経験するまでその事実を知りませんでした。流産の後、子宮が元に戻るまで数ヶ月は妊活できないことがある、ということも知りませんでした。

 

  なんで、「隠す」んだっけ?

自分のことについて隠すタイプではないと思っている私でさえ、妊娠も流産も、この早い段階で、周りに言うのはためらわれました。
そして、「なんでためらってるんだっけ?」と考えてみると、私自身が公表することにためらっているというよりは、「特に結果が流産になった際に、周りがどう接してよいか困るのでは、という気遣いからかな?」と思いました。(他のみんなはどうなんだろう…)

けれど、だいぶ時間があいたので、時効(?)として、周りも過去のことと思って、気にせず接してくれれば良いなと思ってます。

同情してほしいわけではなくて、可愛そうと思ってもらいたいわけでもなくて。
そんなことがあったんだという事実と、関係する可能性のある方は、今後のための参考として捉えてもらえたらと思います。

私が書くことで、「なんかちょっとでも、気が楽になる人がいたらいいな」「どんな反応になるんだろうか(やっぱり反応しにくいのかな)」と思いながら、ひとまず書いてみることにしました。

しかも、子どもができてからだと、今の気持ちを自分で歪めて解釈しそうな気がしたので、書くなら今かな、と思い立った経緯です。

 

  流産がわかった直後の、私の気持ち

感じ方は人それぞれだと思いますが、当時の私の心情は…

赤ちゃんの心臓が動いているのを見て感動した後でもあったので、その心臓が「もう動いていない」と言われたときはショックでした。
また、「もうすぐつわりがひどい時期が終わる!」と思っていたのもあって、「1人を産むために、何回もこのつわりのひどい時期を経験することもあるんだな…」と。

けれど、一旦悲しんだ後は、「染色体異常と言われれてしまうと、悲しんでいても今はどうしようもないな」と、現実を徐々に受け入れて行きました。

相方とは、短期間のお付き合いからの婚約期間中だったこともあり、「もっと今の時間を楽しめ、と言われてるんだ」と解釈して直近のプランを変更し、結婚式を急ぎ挙げることを決め、旅行プランをたて、フルマラソンに挑戦することに決めました。
(また今後、不妊に悩む可能性もあると思ったときに、将来の自分が、このプラン変更についてどう感じるんだろうなぁ、と思ってもいますが)

流産の経験がないからどういう心情かわからず、という方にも、一意見として少しでも参考になればと思います。

 

  一番の学び〜自分にとって「後悔のない生き方」を

流産を経験しての学びは、いくつかあります。

まず今回のことを通じ、自分の妊娠可能性について初めて自覚的になったことで、もし「今は子どもがほしくないけれど将来はほしい」状況だった時、仮に自分の妊娠率が何%と示されていたとすれば、果たして私は「妊活しよう」「卵子凍結をしておこう」と即座に決断していただろうか、という問いとも向き合いました。

最近は血液検査などで、妊娠のしやすさ・しにくさを調べることもできるようなので、自分の体について知っておくに越したことはない、とはもちろん思っています。
ただ、例えばそこで、「普通の人より30%くらい妊娠しにくい体です」と言われていたとして、その情報がわかったときに、どうするか。

まず前提として、私は強靭な体が自慢で、健康だし体は強い方だと思っていました。なので、過去の自分は、自分が流産を経験するとは正直思っていなくて、お腹の中でも生まれてからも、子どもはすくすく育つだろうと、そんな根拠のない自信を持っていたのです。
(かたや、妊娠初期の流産は染色体異常がほとんどのため、体の健康さとかは関係ないことが多いようなのですが)

だから、今回のことを経験する前の当時の自分がその情報を聞いたところで、もしすぐに子どもがほしくない場合には、「目の前の決断を変えられなかっただろうな」と感じたことも正直、事実です。
自分はなんの問題もなく子どもを持てるだろうと思ってしまっていたので、「30%妊娠しにくくても、可能性がないわけじゃないし、いけるんじゃないか」と軽く考えてしまっていただろうなと。
「●●の行動が妊娠を妨げているから、やらなければ確率があがるよ」といった具体的なアドバイスだったら、もちろんその行動はやめていたとも思うのですが。

これからの自分としては、妊娠しにくいと聞いても聞かなくても、結局それは妊娠の確率であって、その後出産まで至れるかどうかの確率でもないことも考慮すると、前述のプラン変更で決めたイベントごとが終わった後(あと2週間後)は、ちゃんと妊活と向き合う予定です。

当然ですが、自分が確率が高い方にも低い方にもなると思った際に、自分はどちらにもなり得るという前提で、自分にとって後悔のない生き方をしなければ、と改めて感じました。

 

  その他、「妊娠→流産で感じたこと」メモ

・全妊婦さん、全ママさんを尊敬
・毎日つわりでだるくて気持ち悪くて、こんな状態で普通に仕事してる方々(特に少し前の、制度も理解もなかった時代の方々)も多い中で、弱い自分を感じて悔しかった
・つわりって、「悪阻」って書くんだ。いかにも悪いし、昔からそう感じられてきたんだな
・女性の体調不良にはこういうこともありうる、と知る
・赤ちゃんが生まれるって、本当にいろんな難関を乗り越えての果ての、大変なことだと実感
・赤ちゃんを生むために、女性の体には次々に変化が起こるので、新しいこと続き
・「赤ちゃんを育てるための子宮」になっていたので、戻るのにも一定期間がかかる(出産の後も、『産褥期』と呼ばれる元に戻るまでの移行期間がある)
・つわりが弱まって、流産だろうと感じたけど、流産の後も気持ちが悪いのは続く
・初めての妊娠、出産って、人生初が積み重なるので、調べることがいっぱい
・いつもやっていることもできなくなるし、食べられなくなるものもあるけど、知らないとやってしまうので危険
・つわりは、人に気づかれない頃が一番つらい
・情報が大事!

 

  流産って「具体的にどんなことが起こる」のか、気になる方へ

ここからは、流産に至る経緯で、私の身に起こった一連のことを時系列で書いてみます。
*あくまで私、個人としての体験談です。
*血の話などが苦手な方、体に関する記述を不快に感じる方は、これ以降は読まれない方がよいかと思います。

・3、4週目:自分の体には意外と敏感らしく、体の異変をいくつも感じて検査前に妊娠を自覚
・5週目:妊娠検査薬で陽性となり、病院でも妊娠を確認
・7週目:心拍確認。この時点で流産率は15%→5%に減少
・9週目:つわりがおさまりやや不安に
・9週と4日目:病院で心拍確認できず。成長スピードを考えると、たぶんつわりがおさまった日に止まっていたっぽい
・10週と0日目:再度エコーを見てみるも、やっぱり心拍確認できず
ー稽留流産(体内に胎児が残ったままの状態)だったため、手術とのこと
ー大きな病院の紹介状を書いてもらうも空きがなく、検査→手術まで1週間待ちに
ーその間、「万一大量の出血と腹痛に襲われたら、救急車を呼んでください」とアドバイスを受ける
・10週と5日目:夜に腹痛と出血。救急車に連絡をするも、出血量から一旦様子見、と言われる
ー夜中、腹痛がさらにひどくなり、気づいたらベッドが真っ赤に
ー腹痛と出血でトイレに籠っていると、出血とともに、胎盤が体外へ
ー再度救急に連絡。3件ほどたらい回しにされたのち、病院へ
・11週目:体外へ出て1週間程度で、気持ち悪さは全てなくなった。

 

  “大量出血の日”のこと

来るかもしれない、と言われてはいたものの、大量出血に焦り。
「出血量は多いですか?生理と比べてどうですか?」と聞かれ、「多いけど、私そんなに生理のときの量は多くないから、普通の人の生理の量と比べたらどうなんだろう…」という状況になっていました。

ちなみに、一通りのこの経験の後に、生理カップを使うようにしたのですが、当時も生理カップを使っていたら、「えっと、出血量は●ミリです、普段の生理の量は、多い日でも7.5ミリくらいなんですけど。」とかと答えられたんだな、と思いました。
ナプキンだと、「重いな」とかはわかるけど、全部染み込んでしまって、どのくらいの量が出てるのか見えないし。普段の自分の体の状態を把握しておくことって、大事なんですね。生理カップなどで先に基準値を知っていたら、色、量、匂いの違いも言えたんだなぁと。

他にも、「もう体外に出ましたか?」と聞かれたのですが、「血の塊は出てるけど、2.5センチくらいの赤ちゃんが出てきたとして、本当に見えるのかな。塊の中に入ってるもの…?初めてのことだからわかんないYO!」と、正直言いたかったです。
結局、出てきたときには、胎盤も含めて5センチくらいの塊だったので、「これは確かに、血の塊だけではない何かが出てきたと気づくだろうな」とは思いましたが。

そして、救急に電話をした際に、「体内の異常がないかの検査のためにも、できればお玉ですくって持ってきてください」と言われ、なんとか救出。
これが、何をするわけでもなく、心拍停止したからってにゅるっと体の外に出てくるって、人間の体すごいな。

私の場合はたまたまこれが、土曜日から日曜日にかけての出来事で、相方も一緒に病院に来てくれたのでとても心強かったのですが、一人だと自分の腹痛もひどいし、どうしてよいか不安になるし、大変だっただろうなと思っています。

こんな一日でした。不快に感じる方がいたら申し訳ありません。

みなさんが私と同じ経験をされるわけではありませんが、あくまで一つの事例として、いつか誰かの参考になることがあれば幸いです。

高寺優子:人材企業勤めの企画屋
結婚1年目。身の回りにも、出産、子育て等、今後のライフプランについて考える人が多い中、おめでたいことしか公開されないことに違和感を抱く。そこから、自分の流産経験が周囲の役に立てばとブログに執筆。その後、ご縁があり「UMU」へ寄稿転載を決意。
本人ブログ「でらぁのーと
*本記事については、ご本人の了承を得て、ブログ原文から一部加筆・編集などを加えた上で公開しています。