経験の違いを超えわかち合える場所へ。「UMUオンラインコミュニティ」今春4月正式スタートに向け、0期がキックオフ!

UMU編集部では、約2年ほど前から、インターンチームが編集部の活動を支えてくれています。その活動や話し合いの中で「オンラインコミュニティをつくりたいね」というアイデアがでてきたのが、かれこれ1年と少し前のことでした。

そこから私たちは、コミュニティへの読者ニーズ把握のために実施したアンケートで、同時に、今後の正式発足に向けともに進んでくれる「0期メンバー」を募集。

ここに集まってくださった6名をお迎えして2021年11月25日(木)、0期キックオフ会を開催し、みなさんとともにいよいよ、オンラインコミュ二ティ正式スタートへの歩みが始まっています。

 


  「産む〜育てる」にまつわるパーソナルな選択や体験を、だれもが語れる場所をつくりたい

UMUがスタートして5年。
私たちが「産む?産めない?産まない?」というテーマに向き合う中で、数百人を超える経験者や当事者とお会いし、「それぞれの体験や思い、本音を安心して出せる場」の必要性を痛感することが多くありました。

それはこのテーマにおいて、自らの経験や選択を話せずに孤独を深めていたり、現在の状況の違い(子どもの有無、不妊経験や流死産経験の有無など)によって、周囲との関係が分断されたりしている人が多いことに気づいたからでした。

どうしたら、その分断を埋められるのだろう? 
どうしたら、「産む?産めない?産まない?」に直面する人の孤独を減らすことができるだろう?

そんな問いが浮かぶ中、
「多様な人がステータスの違いで分断されずにともにいられて、世間的には大声で言いにくい『産む〜育てる』にまつわる個人の選択や体験を、包み隠さずわかち合える場所=コミュニティ」の構想がスタートしました。

どのようなコミュニティであれば、みんなが居心地よく本音を語り合うことができるのか。
UMU編集部とインターンメンバーで何か月にもわたり、話し合いを重ねる過程で、まずはリアルな声やニーズを集めてみよう!ということに。

そこから、UMUの読者の方やイベントにこれまで参加してくださった方の、「コミュニティに対するイメージや理想、望むもの」を知るため、そして、正式発足に向けて一緒に活動していく0期メンバーの募集を兼ねて、アンケートを実施しました。


【回答してくれた方々の基本情報】

 


  アンケート結果から見えてきた、UMU読者の現状

回答結果を見ると、すでに現在でも、8割以上の方が、パートナーや友人を中心に、「産む?産めない?産まない?」に関する何かしらのお話をされているという結果になりました。

また、7割近くの方には、「世間体を気にしたり空気を読んだりせず、自分の本音を出したり、自分が心地よくいることのできる場がある」とご回答いただきました。

現在でもすでに近しいご家族などには「産む?産まない?産めない?」のお話はできていて、かつ、すでに一定数以上の方がご自身の本音を出せて、心地よくいられる場所がある。

この結果を見ながら、私たちの中には「多くの人がすでに話せていて、安心できる場所を持っている=コミュニティは求められていない、ということなのだろうか…」という、新たなモヤモヤ、グルグルが浮かびます。

ここで危うく迷宮入りしそうになる私たちの突破口となったのが、次のこの質問、
「UMUのオンラインコミュニティをイメージした時に、メンバーとどんなトピックについて話したり、共有したりしたいですか?」に対する、読者のみなさんからの回答でした。

UMUは読み物メディアとしては、妊活・不妊治療の経験談をメインで取り扱う媒体です。
だからこそ、この問いの回答としても、おそらく「妊活・不妊治療のことが話したい」という回答が一番に挙がるものと予想していました。

ですが蓋を開けてみると、実際は7割以上の方が「妊活・不妊治療」よりも多く、「働き方・生き方」を選択されたのです。
その他のご興味としては、女性性について、男性不妊全般、不妊治療の経済的問題、2人目を諦めた後の生き方、メンタルの話、夫婦選択別姓など、回答トピックは広範囲にわたりました。

また、UMUコミュニティの目指すべき世界観についても、とても示唆に富んだコメントを下さった方がいらっしゃいました。

“不妊治療してる人がいるときに子育ての話をするのは、遠慮が生じそうです。また、こないだまで不妊の話をしていた人が妊娠出産し子育てトピックに投稿するようになったら、見ていて気持ちがざわつきそうです。
でも、それぞれのトピックはすべて繋がっていて、ひとり1項目ではなく行き来するものなので、全部が話せるようなコミュニティであればうれしいです。それこそがUMUな気がします。
そういう遠慮や嫉妬の気持ちが起きることを肯定しながら、その対応方法を含め発信いただけたら。”

 


  UMUがめざすコミュニティのありかた

「不妊治療、流産、死産、不育症、子どものいない人生…。
抱えている現状が異なるUMU読者のみなさんにとって必要な場所とは、特定のテーマに絞ってだけで集い、その特定の当事者のみで悩みをわかち合う空間ではないのかもしれない。」

「個々人が抱える横断的なテーマについて対話し、お互いの声に耳をすまし、学び合い、結果、自分の生き方をとらえ直せるような場が必要とされているのでは。」ー。

アンケート結果や、さまざまな示唆に富み勇気付けられるコメントの数々がヒントとなり、改めて私たちは、この先のコミュニティづくりのありかたの根幹を決めることとなる、この大きな気づきを得ます。

同時にそれは、アンケート実施前から私たちが直感的に確信していた、おそらくまだどこにも存在していない、UMUでしか実現できないコミュニティの姿でした。

私たちが作るべきは、まさに「産む・産まない」の経験を通じて、生き方そのものを、経験の違いを超えてわかち合う場所なのでは。

アンケートを通じて、みなさんが丁寧に言葉を紡ぎ、伝えてくださった気持ち、想いを全て拝読しながら、私たちは、その確信をまた新たにしたのでした。

“不妊・不育、2人目不妊など、子どもを授かりたい人たちの中には、たくさんの比較から生まれる苦しみやひがみ、妬みがある。
でも、同じ苦しみを知っていても、違う次元で自分らしく生きている人に出会うことで、気持ちが変わった経験がある。
個人の思いやSNSでのつぶやきではできない経験や出会いが得られる場があるといいかも。”

“私は、不妊治療に携わっている者ですが、自分は不妊経験者ではありません。そういった立場でも、語りやすい環境などあれば良いなと思います。”

“偏りない情報公開をされている姿勢に共感します。(ママだけとか、妊活だけと絞っているメディアは多数あるが、偏っていると感じるため)”

“不妊治療を経て現在子育てをしている自分からすると、UMUの軸である妊活・不妊治療〜生殖医療関連のテーマに加え「出産・子育て」についても語れたら素敵だなと思う一方で、生殖医療が必ずしも子育てにつながるわけではないという現実を考えると、その2つのテーマの両立は難しいのかなと感じました。
ただ、こうしたある種の配慮が、結果的に線を引いてしまうことに繋がるのかも知れず、自分自身も日々悩んでいます。”

などなど、読者のみなさん、読者以外のみなさんからも本当にたくさんのメッセージをいただきました。

そこから「産む〜育てる」にまつわる選択や体験を、誰もがタブー視せず語れる社会の実現のために、私たちはまずUMUだからこそできるありかたで、心理的安全性が保たれるオンラインコミュニティを小さく立ち上げてみよう
という思いを固めていったのです。

 


  0期メンバーの思い、そしてキックオフ!

“みなさんと一緒に、すべての女性が生きやすい社会になることを夢見て”

“人それぞれが抱えている痛みを、分かち合える環境が増えるといいな”

“UMUコミュニティを通して自分も学び、誰かの力になりたい”

“自分の生き方について、じっくり考える時間を持ちたかった”

そして、2021年11月末。さまざまな思いと共に0期メンバーに応募してくださった6名のみなさんと、ついにUMUコミュニティ0期がキックオフ!
30~40代を中心に、背景や経験も全く異なる、多様なメンバーが国内外から集まってくれました。

0期メンバーは、コミュニティ正式始動に向けて最適な場づくりや、あり方を一緒に考えていく初期メンバー。
運営側が一方的に情報を提供するような関係性ではなく、全員がフラットな立場から、むりのない範囲と距離感で参加してもらうように呼びかけています。

キックオフ会の自己紹介の場では、いま現在から、生まれ育った家庭環境にまで話が及びました。
自分の経験や感情をシェアすることで、聴いた人が救われたり、癒されたり、胸の奥にしまい込んでいた自分の本当の気持ちに気付いたり。
ひいては、別の人の気持ちをまわりまわって少し楽にする。

そんな循環がここに、起こりつつあります。

 


  「コミュニティの存在意義」とは

先述のアンケート回答をみると、8割以上の人に、「不妊治療などを含めた『産む、産まない』にまつわること」を相談する相手は、パートナーや友人などと、すでに存在している。
では、改めてこのUMUコミュニティの役割、存在意義は、どんなところにあるのだろうか?

何度かオンライン上で顔を合わせ、さまざまな経験を共有している0期メンバーにも、私たちの中で完全に解けた訳ではなかったこの疑問をぶつけてみました。

メンバーのみなさんは、以下のような思いや考えを聞かせてくれました。

“パートナーにはいろんなことを要求してしまうし、客観的に自分をふりかえるのが難しい”

“コミュニティには自らが話すことだけではなく、人のストーリーを聞いて自分を見つめなおしたいという人もいる。
いろんな人の話を聴いて、学べることがコミュニティの価値”

“友人には心配かけたくない、という気持ちが出てしまうので、本当に思っていることまでは言えていないかもしれない”

”悩んでいるときは自分の世界にひきこもって視野がせまくなり、苦しくなる。
いろんな視点、価値観、境遇の方がいると新しい気づきや学びが得られる”

”普通は聞いていていいのかな、話していいのかなと遠慮してしまうけれど、ここではどんな話題もタブー視せずに話せたり、聞けたりする”

”共通の悩みや境遇で集まったコミュニティでは、「同じ経験をしたからわかるよ」という共感がかえって分断を産みかねない。
多様な集まりだからこそ、お互いによい距離感を保って、お互いに橋をかけられそう”

 

パートナーや友人が近しい人だからこそ、大切に思うからこそ、口にできない、遠慮してしまうこともある。

UMUコミュニティにはまた別の意義、価値を、すでにみなさんが見出してくださっているということが、ここから伝わりました。

 


  0期メンバーとともにつくる、「ライフストーリー会」

心強い0期メンバーを迎え、全員の人生をより深く知り、お互いに多くを分かち合うために、ひとりひとりのライフストーリーをシェアする「ライフストーリー会」を現在、順次開催しています。

「産む・産まない」にまつわる話はもちろん、転機となった出来事や、生い立ち、家族、仕事、現在かかえているモヤモヤなど、トピックは「いま話してみたいこと・聞いてほしいこと」の中から自由に選択。
実際に語られる話題は、多岐にわたります。

普段の日常ではなかなか語られない、「人生」そのものを共有する時間を持つ。
それにより私たちは、一人一人が普段の笑顔の裏側に、こんなにもたくさんの思い、喜怒哀楽を抱えて生きていることに気付ける、そんな貴重な機会となっているとも感じます。

乗り越えたくても乗り越えられない、自分がどうしたいのかもまだ見えない。
そんな自分の本音をさらけ出すには、それを話す方も聴く方も、相当なパワーを使います。

それでも、勇気をもってシェアしてくれたストーリーが、別の誰かの学びになったり、抱えた心の荷物を少しだけ楽にするヒントになったり。はたまた、語り手自身も話すことで気持ちに整理がついたり、自分が何にモヤモヤしているのか気付けたりー。

まだ出会って間もない私たちですが、これまでは難しいと考えられてきた多様な経験・バックグラウンドのメンバーが集うコミュニティで、全員の力が合わされば、たぶんもうちょっとだけ遠くまで行ける。
まだ見たことのない景色にも、巡り合えるかもしれない。すでにそんな風に感じ始めています。

立場やステータス、経験はどうあれ、それぞれの人に、幸せがあり、悩みがあり、人生があります。そこには、社会や他人に規定される優劣も上下も幸も不幸も、本来ないはず。

思考停止せず、「本当にそれでいいんだっけ?」という「問い」を立て続けよう。

そして、脈々と引き継がれてきた「女性たちの生きづらさ」という名の負の遺産を、断ち切ろう。私たちの生きる、この時代で。

 

オンラインコミュニティ0期では現在、このライフストーリー会に加えて、外部ゲストを招いての対話、2022年4月に予定する正式スタートに向けた準備など、0期メンバーのみなさんとのさまざまな活動が始まっています。

今春の1期メンバー募集については、TwitterInstagramを通して近日公開予定。
お楽しみに!

アンケート取材・編集・文/高山美穂、野崎茉莉、インターン一同およびUMU編集部


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